従業員 各位
日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。
3月度の衛生委員会の資料になります。
3月度のテーマは「ハラスメントとアンガーマネジメント」です。
皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、
業務に努めていただきたいと考えております。
ご安全に!!
2025年3月度
衛生委員会資料
産業医 北村 香奈
ハラスメントとアンガーマネジメント
最近何かとハラスメントと言われ、会社でもプライベートでもやりにくいなあ、と感じている方は多いのではないでしょうか。けれど、ハラスメントについて正しい理解は必要です。そして、自分が加害者にならないためにも乱暴な気持ちになりかけた時の対処法も知っておく必要があります。
そこで、今回は、多種多様のハラスメントの根本的な心理状況と、そうならないようにするための対策についてお伝えしたいと思います。
基本概念
ハラスメント(Harassment)とは、「嫌がらせ」や「いじめ」行為を指します。職場においては、上司や同僚の言動が本人の意図とは関係なく、相手を不快にさせたり、傷つけたり、不利益を与えたりすることで、就業環境を害する行為が該当します。
(出展:厚生労働省・職場のハラスメント対策セミナー2018資料より)
厚生労働省のハラスメント対策指針では、職場ハラスメントを「職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題」と説明しています。
すなわち、上司や同僚の発言・行動によって、従業員が身体的あるいは精神的な苦痛を受ける、能力を十分に発揮できなくなるなど、その従業員が働く上で無視できないレベルの支障が生じれば、ハラスメントと認められる可能性があります。
もう少し理解を深めると。。。
職場やそれ以外でも、その発言や行動に業務上や客観的な必要性があるのかないのかがハラスメントか否かの一つの判断基準であり、業務上や客観的に不必要な言葉や行き過ぎた言動は、相手の尊厳や人格を傷つける(=ハラスメント) 可能性が高くなります。
そもそもハラスメントを直訳すれば「嫌がらせ、いじめ、苦しめること」という言葉が出てくることから、元々は意図をもって相手を傷付けるというニュアンスが含まれています。
しかし、近年においてはさらに発展
ILO(国際労働機関)では職場のハラスメントを「身体的、精神的、性的、経済的に相手を傷付ける許されない言動で、それは意図的か無自覚かを問わず、単発か繰り返されるかも問わず、ジェンダーに基づく暴力や言動も含むもの」としています。
つまり、ハラスメント言動とは、自分が受けた言動が「不快」であることの根源が「人格や尊厳を傷付けられる言動」であったどうかを中心に考える必要があり、単純に「嫌いな上司から言われた一言が気に入らない=不快だ」とか、「失敗を厳しく注意されてグサッときた=不快だ」という「不快に感じたかどうか」だけでは判断できません。人格や尊厳を傷つけられるハラスメントを放置・容認する事は間違いですが、不快=ハラスメントとする「何でもハラスメント」が行き過ぎると人間関係がギスギスするなどマイナスに作用する事も事実ですから。
そもそも、なんでこんなに「何でもハラスメント」時代になってしまったのでしょう?
その根底には、自分と異なる考え方や行動をする人を排除しようとする、自らの優位性を保つ、そんな心理状況が隠れているようです。(そんな心理状況がなぜ生まれがちなのかは話が長くなりすぎるので今回は割愛します)
自分の尺度の中で、「出来て当たり前」や「やって当然」という、“べき思考”は誰しもが持っています。
問題は、この“べき思考”に囚われ過ぎる(固執)することで、相手に対して怒りの感情が起こり、不必要な言動や行き過ぎた言動(=ハラスメント)に繋がるのです。
例えば、ある事象に対して、、、
Aさん こうあるべき → そうではない状態 → 不快に感じる
Bさん こうあるべき → その通りの状態 → 不快は感じない
Cさん こうあるべき → その通りの状態 → とても快適
・言ってる内容は正しいが、大声をとても不快に感じるAさん (部下には大声で指導する“べき”ではない)
・言ってる内容は正しいし、出来ていないことを指導される事は普通だと不快を感じないBさん(いまの状態は普通である)
・言われた内容は正しいし、厳く感じる指導は結果的に自身の成長に繋がるからとても満足しているCさん(自身の成長には厳しい指導も受け入れる“べき”)
このように、同じ事象でもその人の持つ「べき思考」の違いで反応が違ってくるんですね。
ということは、お互いの「べき思考」の尊重と、全員が不快に感じない状態を作るための努力が必要であり、そのためには、日ごろからのコミュニケーションが大切ということになります。双方が「思っている事を相手に伝える努力」と「相手の言い分を理解する努力」が無いと、不快の無い状態を作ることは難しいでしょう。
ハラスメントが起こる心理状態については理解いただけたでしょうか。
ここまでで、みなさん、きっと実感されている通り、「なんでもハラスメント時代」は言い換えると、「誰でもハラスメントの加害者」になる時代とも言えます。
「べき思考」にとらわれ互いに怒りが湧くと、加害者―被害者関係が出来上がってしまうという意味では、上記のように互いのコミュニケーション、相互理解が一番大事ですが、まず、加害者にならないためには「怒ってしまいそう!」を具体的に止める手立ても持っておいた方がいいでしょう。
そこで、簡単に、アンガーマネジメントの基本もお伝えしておきます。
- 怒りの感情が生まれたら6秒やり過ごす
- 固定観念を捨てる(「べき思考」をちょっと手放してみましょう)
- 自分でコントロールできることにのみ力を注ぐ
- 思考を一旦停止
- イライラせずに済む話し方を実践
〜とりあえず笑ってみましょう 微笑みは仏教では布施修行のひとつでもあるみたいですよ
- 怒りの度合いをスコア表記して記録
- 相手の立場に立って物事を見てみる
もう少し簡単なバージョン↓
これならすぐ取り入れられそうですよね。
ぜひ自分の中の「べき思考」と「怒り衝動」をうまくコントロールして、ハラスメント的な人間関係に巻き込まれない、快適な職場環境を目指しましょう。