2024年11月度 衛生委員会からのお知らせ

従業員 各位

日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。

11月度の衛生委員会の資料になります。

11月度のテーマは「マイコプラズマ肺炎」です。

皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、

業務に努めていただきたいと考えております。

ご安全に!!

2024年11月度

衛生委員会資料

産業医 北村 香奈

 

「咳が出始めると止まらなくてつらい」 「熱が上がったり下がったりしているのはマイコプラズマのせいなの?」マイコプラズマ肺炎が流行している、という情報が流れる中、咳が出始めると心配になってくる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かにマイコプラズマ肺炎といえばとにかく咳の症状が長引きます。

ただ、約80%14歳以下の子どもや若い人に多くみられ、診断のポイントとして65歳以下、という項目があるくらいです。ただ、濃厚接触で大人がかかってしまうと重症化することもあります。

季節性はなく1年を通して発生し、冬にやや増加する傾向があるのでこれからより気をつける必要があるのです。そこで、今回はマイコプラズマ肺炎についてお伝えしていきたいと思います。

 

マイコプラズマ肺炎

マイコプラズマ肺炎は感染するまでに23週間と潜伏期間が長いことが特徴です。

発症すると発熱や頭痛、倦怠感など風邪によく似た初期症状が現れ、35日経過してから咳が出始めます。

咳は徐々に強くなって乾いた咳から湿った咳に変わり、熱が下がったあとも34週間にわたり続くこともあります。

寝込むほど症状が重くなるわけではないため、気づかずに外出する人が多いため、「歩く肺炎」と呼ばれます。

 

【稀な合併症】

重症肺炎  無菌性髄膜炎  胸膜炎  肝炎  膵炎  心筋炎  関節炎

溶血性貧血  ギラン・バレー症候群(手や足に力が入らなくなる末梢神経の障害)

スティーブンス・ジョンソン症候群(眼、鼻、口唇・口腔、外陰部などの粘膜にただれが生じ、全身の皮膚に赤い斑点、水ぶくれなどが多発する病気)

 

感染力

マイコプラズマ肺炎の感染力は風邪やインフルエンザほど強くないので、うつる確率は非常に高いというわけではありません。

感染には濃厚接触が必要であると考えられており、家庭内での感染確率は高く、接触する機会の多い乳幼児と親が共に感染するケースがよくみられます。家庭内で感染者が出た場合はこまめに手洗いをして、発症した人はマスクを着用するなどの感染対策が必要です。

 

マイコプラズマ肺炎の診断法

・マイコプラズマ肺炎の診断は、医師が症状を観察し問診した結果、マイコプラズマ肺炎の症状や特徴を探して判断することが多いです。

・喉の粘膜を採取しての迅速検査もあります。最近は精度も上がっているようですので、検査キットを持っている病院を受診すると良いと思います。

・肺炎が起きているか確認するため胸部X線検査も重要です。鑑別として肺炎球菌感染症の検査をすることもあります。

 

治療法

抗菌薬(抗生物質)を服用して治療します。                                      マイコプラズマ肺炎の原因菌であるマイコプラズマ・ニューモニエは、一般的な細菌と違って細胞壁を持たないため、細胞膜を破壊して細菌を殺すペニシリン系やセフェム系抗菌薬は効果がありません。

<効果のある抗菌薬>

  • マクロライド系
  • テトラサイクリン系
  • ニューキノロン系

一方で、マイコプラズマ肺炎は自然治癒が非常に多い疾患です。

ですので、抗菌薬が必ず必要ではないので、受診して症状の程度によっては処方されないこともあるかもしれません、ただ、服用すると症状が軽くなるのは確かなので、生活にかなり支障が出ている場合はその旨を医師に相談しましょう。

最近マクロライド耐性マイコプラズマも増えている、とも言われています。第1選択役のマクロライド系の薬が効かなくなってきている、ということです。マクロライド系を処方されて内服しても症状が改善しない時は、マイコプラズマ感染ではなかった、と思わず、医師に相談してください。耐性ができるのは、抗菌薬をむやみに使いすぎたツケが回ってきていること、とも言えます。抗菌薬は医師の判断に従って必要な時に内服するようにも気をつけましょう。

今までになく流行しているマイコプラズマ肺炎について、正しく理解し、症状が長引く時には受診して適切な治療を受けるようにしてくださいね。季節の変わり目は色々体調に影響が出てきやすいですが、基本の睡眠、食事、適度な運動習慣も整えていただき、乗り切っていただければと思います。