従業員 各位
日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。
5月度の衛生委員会の資料になります。
5月度のテーマは「暑熱順化について」です。
皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、
業務に努めていただきたいと考えております。
ご安全に!!
2024年5月度
衛生委員会資料
産業医 北村 香奈
今年の夏も相当暑いです、と気象予報士の方々が注意喚起される時期になってきましたね。
その時に、「暑熱順化」という言葉をよく使われるようになったとお気づきになった方もおられるのでは?
酷暑になってからの対策では熱中症を止められない、ということで、前もって暑さに耐える体づくりをしておきましょう、ということですが、これから暑い日本での生活を乗り切るのにとても大事なことですので、詳しく説明していきたいと思います。
基本の熱中症のメカニズム
人は体を動かすことにより体内で熱が作られて体温が上昇します。
体温が上がった時は汗をかくことで、体にたまった熱を下げようとして体の温度調整を行います。
この温度調整がうまくできなくなると、体に熱がたまったままになり熱中症が引き起こされます。
つづいて、今回のテーマ、暑熱順化です。
暑くなる前からできる熱中症の対策には、暑さに強い体づくりがあります。暑さに強い体を作るためには、バランスの良い食事や十分な睡眠以外に、「暑熱順化」をしておくことも大切なのです。上記にもありますように、暑熱順化とは、体が暑さに慣れることです。暑熱順化ができていないと、体の熱をうまく外に逃がすことができず、熱中症になる危険性が高まります。暑熱順化には個人差もありますが、数日から2週間程度かかります。暑くなる前から余裕をもって体を暑さに慣れさせましょう。
<暑熱順化のやり方>
①ウォーキングやジョギング
帰宅時に1駅分歩く、階段を使用するなど汗をかきましょう。
①ウォーキングの場合は1回30分
②ジョギングの場合は1回15分
③週5日はしましょう。
②サイクリング
通勤や買い物など、自転車を使い汗をかきましょう。
①1回30分
②週3回はしましょう
③筋トレやストレッチ
室内では筋トレやストレッチで汗をかきましょう。
①1回30分
②週5回~毎日しましょう。
④入浴 (私的にはこれが一番おすすめ)
お風呂はシャワーだけで済ませず、お風呂のお湯につかり汗をかきましょう。
①お湯の温度が高めな場合は、お湯につかる時間は短くても大丈夫!(41℃の湯に全身浴で10分間)
②お湯の温度が低めな場合は、お湯につかる時間を少し長くしましょう。(40℃の湯に全身浴で15分間)
③入浴の前後に十分な水分と適度な塩分を補給しておきましょう。
これらの暑熱順化を進めていく際に、せっかく暑さに耐えて頑張っても、そのあと冷房を多用すると順化が遅れたり戻ったりします。また、2週間サボると元の状態に戻ってしまいます。ですので、初めから無理はせず少しずつペースアップしながら持続的に頑張っていただければと思います。
今年も春まで続くエルニーニョ現象の影響などにより日本付近は暖かい空気に覆われやすく、夏の気温は全国的に平年より高い見込みです。4月から最高気温が30℃以上となる真夏日が出る可能性もあり、早めの熱中症対策が求められます。
多くの人が暑熱順化をできていない、4月のタイミングでの急な暑さにはますます注意が必要で、熱中症の予防・対策が必要な時期も年々早まっています。
これは、暑熱順化を始めるタイミングの目安を示しています。参考になさって早速、暑熱順化のトレーニングを始めていただければと思います。
また暑熱順化と併せて、本格的な夏を迎える前からエアコンの点検や試運転を行う、暑さ対策アイテムをそろえるなど、熱中症は気象災害であることを意識し「備える」ことももちろん重要ですよ。
間違いなく暑い夏がやってきます。体づくりと安全な環境作りを今から始めて、酷暑を乗り切っていただければと思います。