従業員 各位
日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。
1月度の衛生委員会の資料になります。
1月度のテーマは「眼の健康について」です。
皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、
業務に努めていただきたいと考えております。
ご安全に!!
2024年1月度
衛生委員会資料
産業医 北村 香奈
今回は、普段酷使されている眼の健康についてお話ししたいと思います。
デバイスの多様化や業務の多くがデジタル化したことで、就業時間中にパソコンの画面を見続けることはもちろん、通勤中や休憩中、就寝前など何かとスマートフォンを利用する機会が増えていますよね。
現代人は目を休める時間が極端に短い傾向にあるため、今後は多くの方が目の健康課題に直面することが心配されています。
新型コロナウイルス感染症の流行により、リモートワークの急激な普及など労働の環境も大きな変化がありましたが、部屋の明るさや机と椅子の高さ、画面と目の距離など、業務に適していない環境でパソコン作業をする人も増加したと考えます。(VDT)
参考 VDTとは
VDT: Visual Display Terrninals ーコンピューター、タブレットを用いた作業 |
VDT症候群: ー長時間のVDT作業により、目や体、心に支障をきたす病気 |
ー目の症状:ドライアイ、充血、視力低下、眼精疲労 |
ー体の症状:首腰、肩のこり、だるさ、痛み(頸肩腕症候群) |
ー心の症状:食欲減退、イライラ、不安感、抑うつ症状など |
また、職場にいてもマスクを着けている時間が長い状況が続きましたが、マスクをしていることで自分の吐いた息が目の表面にあたり、涙の蒸発が促されて目を乾かしてしまう「マスクドライアイ」といった、いわば現代的な課題も出てきていることをご存知でしょうか。
目にかかる負荷が増えている一方で、こうした「目の健康課題」に気づける機会は少ないです。
例えば、年に1回は健康診断を受けていただいているかと思いますが、視力検査以外を検査する機会は少ないのではないでしょうか。それだと目に来している異常は見つかりません。
「目が乾く・かすむ」「ちょっと見えづらい」程度の症状では放置されがちですが、これらの目の不調の影には様々なリスクが隠れている可能性があるため、注意が必要です。
<働く方の目の問題>
ドライアイ
ドライアイという言葉は広く一般に知られていて、自覚症状のある人も多いのですが、その危険性や対策についてまでは浸透していないのが現状です。
ドライアイは単に目が乾くということだけでなく、乾きにより目の表面が傷付きやすい状態になることが危険なのです。
目の表面の傷が増えてくると自覚症状として見えづらさや痛みを感じるようになってしまい、日常生活にも大きな影響が出てしまいます。
また、ドライアイは頭痛と、ドライアイによる眼精疲労は肩こりや倦怠感とも深い関わりがあるとされています。
それらの不調により集中力が下がることで業務損失にも影響し、生産性を低下させる要因になるのです。
そのため、働く人のみならず、企業においても適切な対策が求められており「たかが乾き目」ではすまされないということを知って対策を検討いただきたいところです。
緑内障
緑内障は罹患率が高く、かつ最終的には失明につながる恐れのある疾患ですので、細心の注意が必要になります。
事実として、緑内障は40歳以上のおよそ20人に1人が罹患する病気とも言われていて、日本における視覚障がいの原因の第1位です。(視覚障害認定で身体障害者手帳を保有する方の1/4以上が緑内障によるものです)
失明や視覚障害はQOL(生活・生命の質)に大きく影響し、転倒や交通事故はじめとした労働災害、さらにはうつや認知症の要因ともなります。
緑内障の症状は視野障害が代表的なものになりますが、人によってはまぶしさ、かすみの症状を感じる方もおられます。でも自覚しにくい障害と言われているため、目を酷使していて目の状態が心配、という方は定期的に眼底検査をされた方が良いです。
こうした目の疾患の予防・改善には、セルフケアとセルフチェックが重要です。
セルフケア
1時間のパソコン作業ごとに遠くを眺める
深呼吸(涙の分泌を促すといわれる)をしたりして目を休める時間を取り入れる
画面を凝視し続けると瞬きの回数が減るため、意識して深い瞬きをする
目の周りを温める
市販の目薬を手元に置いておく
目に効果があると言われているサプリメントを取り入れる
環境チェック
画面に照明や窓からの光が映りこまないようにする
複数の画面を使用している場合は、ピント調節の回数を減らすために目とディスプレイとの距離や文字サイズなどの設定を揃えるなどのパソコンの作業環境を整備する
研究によれば、目の不調等による職場の経済的損失は「うつ病」より大きいと試算されているくらい深刻な問題です。そのうつ病などメンタルヘルス不調についても目の健康状態が深く関係しているとも考えられています。
このような現実を踏まえ、職場における目のヘルスケア対策に真剣に取り組んでいただきたいものです。
もちろん、上記セルフケアにもぜひ意識を持っていただきたいです。
(以下参天製薬より参考資料)