2023年3月度 衛生委員会からのお知らせ

従業員 各位

日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。

3月度の衛生委員会の資料になります。

3月度のテーマは「病院選びのコツについて」です。

皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、

業務に努めていただきたいと考えております。

ご安全に!!

2023年3月度

衛生委員会資料

産業医 北村 香奈

今回は、病院選びのコツについて、お伝えしたいと思います。産業医をしていてよく体験するのですが、健診結果で〜〜が心配だから〇〇科を受診してきてください、とお伝えして、せっかく受診していただいても、クリニックの先生がちゃんと話を聞いてくれなかった、受付の人が感じ悪くて苦痛だった、などの報告がなされ、これから検査を受けよう、治療を受けよう、という気持ちを萎えさせてしまうということが起き、健康へのチャンスを逸する、ということになってしまう、というもの。

仕事で忙しい中、わざわざ時間を作っていく病院ですから、できるだけ親身になって診てくれて、より適切な治療をしてくださるところに行きたいですよね。

そこで、どんな病院(医者)を選べば良いのか、私なりに思うところ(友達の医師の意見も取り入れ)をお伝えしたいと思います。

 

良い医者の基本的なポイント

1.傾聴

特に初診の際など、患者さんの話をきちんと聴く姿勢。時間的な制約はもちろんありますし、無限に聴くことが良いとも限らないのですが、まずは患者さんが本当に困っていることやそれに伴う気持ちを想定しながら聴くという態度大事です。患者さんの語る内容が医学的にみて間違っているな、という時でも、どうしてそう考えるのか話し合える受容力が必要です。患者さんの話が分からないときにわかったようなふりをしないことも大事です。あとでお互いにいいことがありません。さらに、必要なときには患者さんにしっかり注意できる力も必要です。それをせずにニコニコしているのは不誠実です。注意をうけた患者さんは、恐い、と逃げず、なぜ先生が注意しているのかを考えていただければと思います。

 

2.知識

専門家とはいえあらゆる海外論文の知識を知っている必要はないというか、それは臨床医にはちょっと厳しいところもありますが、患者さんからの当然の質問には答えられるくらいの知識があることは必要です。一方で、自分に分からないことは知ったかぶりをせずに率直に分からないと言える謙虚さも必要です。さらに、病気に関する知見は日々進歩していますので、勉強してアップデートする姿勢も大事です。その自分の勉強姿勢がHPなどに報告されているといいですね。


3.薬物の使用

薬の効果や副作用について十分な知識があり、患者さんに説明できることは当然です。

安易に処方しないことや、漫然と投与を続けないことも薬によっては必要です(頭痛薬や痛み止め、眠剤など、毎回同じように処方されるのは危険ですからね)。すでに常容量依存になっているケースで断薬できるように指導するスキルも大事です。


4.薬以外の治療的観点

薬以外にも、生活習慣病などは食事や運動のアドバイス、頭痛や不眠などの症状にも生活における原因についても検討し、改善のアドバイスをしていくことが大事になってきます。患者さんを取り巻く種々の環境要因に配慮する視点も大事です。内科疾患の治療においても患者さんのパーソナリティ、価値観にも意識を注ぐことができなければなりません。体の病気と言っても心労からの影響が大きいことは少なくありません。心身相関について意識を持った医師が理想です。

 

では、このポイントをどうやって見抜くのか、が切実な問題ですよね。

行ったこともない病院の医者のことだからわからない、では、口コミを信じて良いのか。

信じろ、とは言いませんが、参考にはして良いと思います。多数の同じ意見はより信憑性が高まります。

あとは、病院のホームページの作り方。患者さんのことを思う姿勢があるか、その病院で何ができるかを丁寧に説明しているか、などを吟味してみてください。そして受診して上記のことを確認してみてください。

以下、大津秀一先生(緩和医療専門家)のご意見が興味深かったので掲載します。ご参考までに。

Q:ネットで評判のいいお医者さんをかかりつけ医にと考えています。ネットでかかりつけ医を探すときに注意することはありますか?

A医師の顔が載っていないホームページは要注意。載っていても、かかってみないとわからない。写真はあてにならない(笑)。何はともかく、かかるべし。

「ネットで調べてかかったんです」50代女性の浦部さんがおっしゃります。

「そうしたら…?」
「写真は笑顔じゃないですか? それなのに実際はブスっとしてつっけんどん。感じが悪くてびっくりしました」
「そうだったんですね。しばしばありますね」
「えっ、そうなんですか?」
「写真は“盛る”ことができますからね」
「ああ…“映える”ってやつですか?」

インターネットで検索して医療機関を受診する方も増えています。

実際、私のクリニックも、一切広告を出していないので、インターネットをご覧になって来られる患者さんが100%です。私は写真を盛っていないので「そのままですね」と言われます。けれども一般のクリニック写真などは、できるだけ感じがよく、親しみやすいように考えて撮影されています。

なので、蓋を開けてみるとびっくりということがあるのですね。

これはテレビによく出ている医師にも言えることで、口コミなどを拝見していると、実際にあったらテレビでの気さくな感じは一切なく、対応もよくなく驚いた…というようなものもありますが、それはテレビ向けのキャラクターであり、期待するのはちょっと誤りかもしれません。

大切なのはご自身にとって、何が最も求めるものなのかを明らかにしてかかることです。力量があって、接遇も良ければ最高ですが、全部そろっているということは多いわけではありません。

求めるものは、クールな診断と治療なのか、安心できるような優しい姿勢や眼差しなのか、それによって望ましい医師は変わりますし、それに合うようにチョイスしていけばよいでしょう。

まずはかかってみて、質問も用意しておいて、しっかりと答えてくれる医師かどうかを見極めればよいと考えます。

またネットでも広告のページは大変多いので、お金を払って載せているかどうかはチェックしたほうがいいです。ネットの検索で上にくるからといってちゃんとした医療をしているとは限らないので、ネットはできるだけ3ページや5ページまでクリックしてみることをお勧めします。

最近、注意するべきは、医師の顔写真が載っていないサイトです。例えば、在宅医療機関でそのようなホームページも散見されます。

おそらくお金をかけているのでホームページ自体は充実していて、一般的な知識は豊富に含まれているのですが、私のような専門家のセンサーには、どうも「色を感じない」点が引っ掛かります。

そして「どんな医師がはたらいているのかな」と探しても、顔が出てこない。

先般も「緩和ケアをしている」という在宅医療機関から「苦痛が取れなくて」と移って来られた患者さんを拝見しました。お話を聞いてみると緩和ケアは実際行われていない状況でした。そしてホームページは、やはり「カオナシ」。

このようなクリニックは経営者が別にいて、雇用された院長が次から次へとすげ変わっているケースがあります。もちろん、そのときに在籍している医師次第ですが、専門性の上では不安が残るのは否めません。これらのポイントを意識し、ネットを積極的に使用してよい医師を探していただければと思います。

最後に、病院を選ぶ時、遠いか近いかも問題になりますね。遠くの総合病院で機器など最新のものが揃っているところか、近くの町医者か。まずは近くの町医者の先生をかかりつけ医にしましょう。必要であればその必要な時に、より高度な医療を提供する病院を紹介してくれます。何かあった時すぐみてくれる先生を持つことの方がまずは大事です。

 

良い病院との付き合い方を身につけて、効率よく快適に受診して、健康な心身維持にお役立ていただければと思います。