従業員 各位
日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。
9月度の衛生委員会の資料になります。
9月度のテーマは「ストレスについて」です。
皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、
業務に努めていただきたいと考えております。
ご安全に!!
2022年9月度
衛生委員会資料
産業医 北村 香奈
毎年受けているはずの、ストレスチェック。受けてはいるものの、それでどうすればいいの?と思っている方も多いのではないでしょうか。そこで今回はストレスチェックについてその内容と活用法についてお伝えしたいと思います。
数年前に実施された労働安全実態調査によると、何らかの職場のストレスを感じている人の割合は全従業員の半分以上という結果が!心の健康被害により退職または休職に追い込まれている従業員も一定以上の割合で存在するということがわかりました。
これに対して、全企業の半分近くがストレス対策に対して必要性を感じていないか、対策の取り方がわからない状態であることも同時に明らかになりました。
これらの状況を受け、2015(平成27)年12月1日から一定規模以上の事業場ではストレスチェックの実施が義務化、職場の「メンタルヘルスの不調予防」が安全配慮義務として規定されました。
国の方針だからストレスチェックを実施はしているものの、受けてどうなる?どう活用すればいいの?というところがわからないまま、という状況の職場も多いようです。
そこで、今回は、ストレスチェック結果をどう活用するかについて、個人でのバージョンのお話をしたいと思います。
(企業がどう活用するか、というお話もあるのですが今回は個人向けで)
まず、ストレスチェックの内容ですが、
~「職業性ストレス簡易調査票」でチェックするストレスの3要素~
① 仕事のストレス要因:職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目。
② 心身のストレス反応:心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目。
③ 周囲のサポート:職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目。
となっています。
この調査票は、厚生労働省から委託された研究チームが何年もかけて研究を重ねた末に完成した非常に完成度の高いもので、10分程度のかなり手軽な検査で正確なデータが得られるよう設問や構成に工夫が施されています。
もう少し詳しくみていくと…
「職場における当該従業員の心理的な負担の原因に関する項目」
仕事を行う上で受けるストレスが、どのような因子によってもたらされているのかを調査します。これらの項目に回答すると、仕事の量の多さ・職場の人間関係などその人が職場環境のどこにストレスを感じているかが客観的に把握できます。
「心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」
ストレスチェックにおいて最も重点が置かれている項目です。高ストレス者の選定についても、この項目に関する評価点が高い人がまず選ばれることになります。
心理的なストレスを感じた時にでる代表的な身体の反応について確認することができます。各個人によって、どのようなところに現れる傾向があるのか、身体的な負担がかかっていないか等もわかるので、心配で心療内科受診する時などはこの内容を伝えると良いですね。
「職場における他の従業員による当該従業員への支援に関する項目」
職場で受ける支援について、本人がどう感じているのかを調査します。主に上司・同僚・配偶者や家族とどう関われているのか、仕事や家庭に満足感があるかに焦点を当てています。
ストレスチェックはその後のセルフケアが肝心
ストレスチェック制度では、自分のストレス状況について気付き、セルフケアを行うよう促すことによってメンタル不調になることを防ぐことが「第一の目標」となります。セルフケアにおいてはストレスに気付くことが大事なので、その意味でもストレスチェックは非常に役立つツールです。
体調管理と同様、心の健康を自分で管理する(セルフケアを行う)ことは大切なことです。
セルフケアの基本は「3R」
自分で行うストレスの対処においては、以下に示す「3つのR」が基本になります。
Rest:休息、睡眠、休養などで、疲労した脳や身体を休めましょう。
Relaxation:音楽鑑賞やアロマテラピーなどで、心身の緊張を和らげて癒しましょう。
Recreation:軽い運動や旅行のような趣味・娯楽で、気晴らしをしましょう。
また、ストレス対処においては、自分の考え方の癖に気付き、物事の受け止め方を変えることも大切になります。「コーピング」と呼ばれる受け止め方・対応方法の改善スキルがあるのが、簡単にお伝えしておきます。
コーピング〜ストレスをうまく受け止める対処法
今のストレスにできることは何かを整理していきます。
・相談する、説明する:周囲にアドバイスを求めたり、自分の状態について共有してもらう。
仲間、職場の外の友達に相談する
・見方を変える:ストレスの原因に対する見方や、受け止め方を、いつもの自分の考え方とは違う方向性で考えてみる。できればポジティブな内容に変えてみる(よく言われる認知の変容)
・知識をつける:日頃から自己学習や技術訓練を行うことで、自信を持ち、自己肯定感を持てるようにする
・気分転換:趣味やリフレッシュの時間をとり、仕事のことを考えない時間を作る
・問題を解決:ストレスの原因に対して働きかけ、解決する 原因がマイナスに作用しないよう対策をとる
・気持ちの消化:ストレスの原因に感じる怒りや不満、悲しみを 表現してみる、
受け止める(信頼できる人に受け止めてもらう)
これらの項目リストを作り、何が自分のストレスに効果的だったかを振り返る、という作業を続けます。それにより、ストレスが溜まったときに自分はこういう対策をとれば、支障が大きく出ずに済むのだ、ということがわかってきます。
次に、ストレスチェックの項目別にセルフケアのポイントをお伝えします。
職場における当該従業員の心理的な負担の原因に関する項目
この項目がストレスの主な要因に当たる場合、職場環境の改善が一番有効です。業務配分や一日のスケジュールの見直し、 新しいツールの導入 、作業環境の改善など職場全体で取り組む必要があります。
セルフケアとしては、スキルアップや「職場の人間関係の改善」・「モチベーションアップ」といったこともプラスに働きます。「心の余裕」を持つために、趣味に夢中になる時間・業務から離れる時間を確保することにも注力を。
心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
身体にストレス反応が出てしまっているため、早急な医療との連携が求められます。産業医への相談や、長時間労働など労務上の問題があれば見直し・業務上の配慮といったものが有効です。
セルフケアとしては、食事や睡眠といった心身へのケアを心がける生活を始めましょう。業務中の軽いストレッチやバランス良い食生活、1日8時間程度の十分な睡眠といった、「基本的な健康に関する知識」を身に着けるタイミングです。身体の反応がストレスによるものではない可能性もありますので、健康診断も積極的に。
職場における他の従業員による当該従業員への支援に関する項目
コミュニケーションに関する知識やソーシャルサポートの介入を提案することでかなり改善が見込まれる項目です。
個人的な関係性やその人のプライベートな部分が含まれますので、相談がしにくいと感じる悩みの多い部分。「コミュニケーションの取り方」や「相談の方法」といったものに焦点を当てて見直してみるのもよいでしょう。(自分がどういう話しかけ方をして相手にどう思われがちかな?など。アサーションを参考に)
セルフケアにおいては、ソーシャルサポート(社会的支援)、人と人との支え合いも大切です。家族や友人に相談できない場合は、カウンセラーなどの専門家に相談することも非常に重要です。普段相談しづらいと思っていても、ストレスチェックで結果が出ていると、多少相談しやすくなるのではないでしょうか。うまく活かして相談しようと思う機会にしていただきたいです。
最後にストレス溜まってきたな、というときにおすすめのヨガのポーズをお伝えします。
ウサギのポーズ : ストレス解消・頭痛の緩和・眼精疲労の軽減に効果があります。眠る前などにやっていただくと質の良い睡眠が取れますよ。