2022年4月度 衛生委員会からのお知らせ

従業員 各位

日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。

4月度の衛生委員会の資料になります。

4月度のテーマは

」です。

皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、

業務に努めていただきたいと考えております。

ご安全に!!

2022年4月度 

衛生委員会資料

産業医 北村 香奈

痔は症状がある人だけでも成人の約半数もいるといわれています。

悩んでいるのはあなた一人ではありません。

特にダイエットをして排便が定期的にない女性などの痔が増えていると言われています。痔とはどんなものか、なってしまった時の対処法、ならないための予防法を考えていきたいと思います。

痔のタイプとその症状

痔は次の3つに大きく分けられます。

痔核(じかく)

  直腸肛門部の血行が悪くなり、血管の一部が風船のようにふくれあがり、出血、脱出をおこします。

痔瘻(じろう)

  肛門から細菌感染がおこり、肛門周囲にうみがたまります。

裂肛(れっこう)

  硬い便によって肛門上皮がさけて、痛み、出血をおこします。

 

痔と生活習慣

痔は生活習慣と密接な関係があります。おもな原因は、便秘や下痢などで肛門に大きな負担がかかることにより、病気を引き起こします。便秘や下痢になるような生活をしていると、痔になる確率がたかくなります。
男女ではなりやすい痔が違います。痔でももっともおおいのは痔核です。2番目におおいのは、男性は痔瘻、女性は裂肛です。

 

男性

女性

痔核

50%

60%

痔瘻

20%

5%

裂肛

10%

15%

その他

20%

20%

 

 

 

 

 

おしりは非常に繊細でいろいろな役目をしています。おしりのことを理解しましょう。

肛門は、乳児のときに口のほうから下がってきた腸と、おしりのほうからくぼんできた皮膚とがつながり、1本の通り道になったものです。そのため、構造、伸縮性などが異なる2つの組織が同居しています。とても複雑な構造になっています。

おしりの解剖図

 

固形便か、下痢か、おならか、肛門は鑑別しています。また巧みな排便機能があり、普段はおしりをしっかり閉めています。

1.痔核

痔核には、歯状線よりも上の粘膜の部分にできる内痔核と、下の皮膚の部分にできる外痔核があります。普通、痔核というと内痔核をさします。

内痔核のできる位置

痔核治療

内痔核

I   痔核の脱出はない 痛みはなく、排便時に鮮血の出血することが多い。………………保存療法
II  排便時に脱出するが、自然に戻る。…………………………………………………………外来処置
III 脱出して、指で押し込まないと戻らない。…………………………………………………手術療法
IV 指で押し込んでも戻らず、出たままの状態となる。粘液がしみ出て下着が汚れる。…手術療法

激しい痛みを伴う痔核

血栓性外痔核

肛門周囲に血栓(血の塊)が作られたもの

嵌頓痔核

痔核内に血栓が多くでき、嵌頓状態(脱出して腫れ、戻らなくなる)となったもの〜手術か保存療法

2.痔瘻

直腸と肛門のさかいめ、つまり、歯状線の小さいくぼみから大腸菌などが入り込み、直腸と肛門の周囲が化膿したものを肛門周囲膿瘍といいます。 膿瘍(おできのようなもの)が切開されるか、あるいは自然に破れたりするとうみが出て、直腸、肛門とつながったうみの管ができます。これを痔瘻(じろう)といいます。

病気の原因は肛門小窩という入り口の感染から起こります。

基本的な根治手術は、入り口を含めて瘻管を切除し、入り口を閉鎖します。複雑な痔瘻は、数回に分けて手術を行います。

シートンというひもを使って痔瘻を治す場合もあります。繊細な高度な技術を要するため、専門医に相談しましょう。

3.裂肛

裂肛(anal fissure,fissure-in-ano)とは、歯状線から肛門縁の肛門上皮に発生した裂創・びらんで、浅いびらんから、亀裂を伴う深い潰瘍まで様々です。乳幼児から成人に幅広く見られ、痛みと出血の症状を来します。2040歳代の女性に多くみられます。硬い便や、下痢による肛門の炎症におり皮膚が切れておこります。慢性化すると潰瘍になり肛門が狭くなります。狭くなるとますます肛門が切れやすくなり、治りにくくなります。こうした悪循環になると、肛門狭窄になり手術が必要となります。原因としては、ライフスタイルに大きく影響されます。食生活、排便習慣、修学、就労、妊娠出産、生活環境の変化、睡眠、酒・たばこなどにより影響されます。そのため、1020歳代では裂肛は女性に多く、6070歳代では男性に多く見られます.乳幼児では女児がほとんどで6ヶ月から1歳に多く見られます。体質的要因としては、肛門の局所の血流や肛門括約筋機能に影響され、心理的ストレスによる肛門管内の圧力上昇の裂肛の要因とされています。

 

痔の予防法

できればなりたくない痔。そこで、痔にならないための生活習慣をお伝えします。

 

・毎日お風呂に入る  ・お尻を清潔に  ・便秘・下痢にならないようにする(水分摂取・食生活・運動)・便意は我慢しない  ・強くいきまない  ・お尻を冷やさない  ・長時間の同一姿勢は避ける  ・アルコール、辛いものは控える

 

コロナ禍で同じ姿勢でじっと座ることが増え、痔の症状に苦しむ人が増えているようです。ひどくなるとその同じ姿勢が取れなくなり、仕事に支障をきたす、ということになりますので、発症しないよう予防の意識を持っていただければと思います。

 

 

予防として大切な快便について

動物はみんなうんちをします。食べ物を吸収し残しておけないゴミ。そして身体からの便りです。
体からの大きな便り、それが大便です。うんちの便りを読むと臓器の異常がわかる。くらしのモニター(評論家)です。

生活のリズムがうんちをつくると考えて、毎日うんちを観察しましょう。

排便は自律神経を刺激することから始まります。

食事が始まると、胃が活発に動き、自律神経を刺激します。
一口30回以上かむと、消化もよくなり、歯も丈夫になり、自律神経も活発化します。そして大腸が動いて、うんちを直腸に送り込みます。胃大腸反射といいます。
自律神経は日頃の生活態度で作られます。

自律神経を、活発にするには、食事は7~8分目で、しっかりと朝食を取ること。適度の運動と、良く笑い、日頃くよくよしないことが大切。笑いと運動は、がんを殺すNK細胞と長寿遺伝子Sir2を活性化します。

 

排便の極意(送り出し)

便意を感じることが次のステップです

直腸にうんちが来て初めてうんちが来たと感じます。これを(便意)(出せ出せコール)といいます。
タイミングの取り方で、排便のうまい下手がきまります

便意にあわせて、うんちをスルリと出す。
力自慢は、百害あって一利なし

押し出しではなく、タイミングをつかむこと。送り出しの技こそが、うんちの出し方の極意です。

明日から出来ること

・毎日朝食をとる・良く噛んで食べる・食後は20分以内に歯をみがく・野菜・くだものなど、繊維をたくさんとる・ヨーグルトなど、ぜんだまきんを毎日食べる・きそく正しい生活をする・出せ出せコールが来たら、うんちをする・うんちはがまんしない・毎日うんちをみよう・シャーワートイレは、ほどほどにする

 

痔予防、その基本は快便から、ですので、できることを増やして快便生活を始めていただき、快適に働けるようになっていただければと思います。