2022年1月度 衛生委員会からのお知らせ

従業員 各位

日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。

1月度の衛生委員会の資料になります。

1月度のテーマは

ノロウイルスについて」です。

皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、

業務に努めていただきたいと考えております。

ご安全に!!

2022年1月度 

衛生委員会資料

産業医 北村 香奈

 

 

ものすごい寒さがやってきてびっくりした年末でしたが、その寒さの中で、コロナもインフルエンザも増えてきそうで心配です。そしてもう一つ、冬に流行するのが心配されるのがノロウィルスです。そこで、今回はノロウィルスについてお伝えしたいと思います。せっかくのお正月休みにお腹を壊した、なんてことにならないようお気をつけください。

 

1.ノロウイルスの基礎知識

 ノロウイルスは、乳幼児から成人に至るまでの幅広い年齢層に、おう吐・下痢などの胃腸炎症状を起こすウイルスです。大きさは直径が約38nmと非常に小さいですが、カキなどの二枚貝を介した食中毒の原因として、また学校や病院、老人保健施設など施設内集団発生事例の原因として、社会に与える影響は極めて大きいウイルスです。

 このノロウイルスが毎年流行してしまう背景には、(1)排泄物中のウイルス量が非常に多い、(2)感染力が極めて強い、(3)ウイルスが排泄される期間が長い、というウイルスの特徴があります。例えば、ノロウイルスを含んだ排泄物に接触してしまった場合、たとえ肉眼的に汚れていないように見えても容易に感染してしまいますし、下痢が治まった後も1?2週間はふん便中に排泄されているといわれています。

 ノロウイルスは何らかの経路で最終的にウイルスが口に入ることで感染します(経口感染)が、その経路は大きく以下の二つに大別できます。

(1)食中毒など食べ物を介した感染

 この感染経路には二つのタイプがあります。一つは、ノロウイルスに汚染された貝類による食中毒のタイプ(一次汚染)、もう一つは、調理や配膳をする人の手指や調理器具が汚染されていることが原因で、食べ物がノロウイルスに汚染されて感染するタイプ(二次汚染)です。学校においては特に後者が重要で、実際に学校で起きた例では、業者から運ばれた給食用のパンが原因となった例や、学校給食の調理員や給食当番の児童を介した例などの報告があります。

(2)ヒトからヒトへの感染

 食べ物を介さない点で食中毒とは異なります。下痢や吐物によって手指が汚染され、さらに汚染した手指が触れた場所がノロウイルスに汚染され、最終的に手指などを介してウイルスが口に運ばれ感染します。基本的に手指などが接触して伝播していくため接触感染と呼ばれます。実際に、トイレの便座やドアノブ、手すりなど手指の触れる機会が多い場所からノロウイルスが検出されます。その他、おう吐時には、ノロウイルスを含んだ小さな水滴(飛沫)が1?2m程度周りへ飛び散りますが、その際に周囲の人に感染してしまう飛沫感染も重要です。また排泄物が放置され乾燥し、それらの一部が舞い上がって空気中を漂い、そこを通った人が感染するケースも報告されています。

実際には、過去のノロウイルス食中毒の調査結果を見ると、食品から直接ウイルスを検出することは難しく、食中毒事例のうちでも約7割では原因食品が特定できていません。ウイルスに感染した食品取扱者を介して食品が汚染されたことが原因となっているケースが多いことが、原因食品が特定できない要因となっています。

ノロウイルスといえば二枚貝(特に牡蠣!)を思い浮かべる方も多いと思います。。二枚貝は大量の海水を取り込み、プランクトンなどのエサを体内に残し、出水管から排水していますが、海水中のウイルスも同様のメカニズムで取り込まれ、体内で濃縮されるためと考えられています。なお、ノロウイルスに汚染された二枚貝による食中毒は生や加熱不足のもので発生しており、十分に加熱すれば、食べても問題ありません。(ので、牡蠣はなるべく加熱料理に!)

 

2.対策 

ノロウイルスは環境中でも感染力を失うことなく安定して存在するため、放置されたおう吐物・下痢便などから容易に感染が広まります。また、一般的に消毒に使われているアルコール製剤を含め、いろいろな消毒剤に抵抗性があるといわれており、確実に消毒するには次亜塩素酸ナトリウムなどの強力な消毒薬を使う必要があります。そのため、学校や家庭内でおう吐・下痢などの排泄物を処理する際には、適切な方法で素早く処理することが大切です。突然おう吐するなど予期せず周囲を汚染してしまうことがありますので、素早く対応するためには、あらかじめ必要な物品(次亜塩素酸ナトリウム液、エプロン・手袋・マスク・ビニール袋など)をひとまとめにして、決められた場所またはワゴンなどに準備しておくとよいでしょう。次亜塩素酸ナトリウムの希釈の方法などは、あらかじめわかりやすいように表記しておく工夫も重要です。

 身の回りの消毒としては、汚染した手指が触れる機会の多い、トイレの便座およびその蓋、ドアノブ、水道の蛇口、手すり、遊具などを0.02%次亜塩素酸ナトリウムなどを用いて定期的に消毒し、その後充分に水拭きをします。消毒の回数については特に決まりはありませんが、下痢やおう吐をした児童生徒・職員がいる場合には消毒の回数を増やす必要があります。またおう吐物や下痢便で汚れた衣類は、一般の衣類と一緒にせずに、バケツなどでまず水洗いし、0.02%次亜塩素酸ナトリウムで消毒後に洗濯することに注意して下さい。

 

3.予防法

 残念ながらノロウイルスに対するワクチンは実用化されていませんので、ノロウイルスの予防法としては、手指を介した接触感染の経路を遮断する意味で石けんを用いた手洗いが最も重要です。特に、食事を用意する際や食事の前、トイレに行った後、いろいろな物に触れた後、外出から帰った後は、手洗いが欠かせません。石けん自体にはノロウイルスを直接失活させる効果はありませんが、ウイルスを手指からはがれやすくし、さらに水道水で洗い流すことにより、物理的にノロウイルスを除去できます。

 ただし、手洗いの方法には個人差があると思いますので、児童生徒や保護者、教職員の方々の間で手洗いの講習会などを開いて、正しい手洗いの方法を確認するとよいでしょう。指先や爪の間、指と指の間、親指の周り、手首などは特に洗い残しが多いですので、意識して手洗いを行います。手を洗った後は、ペーパータオルなどでしっかりと水分をふき取ります。手を拭くタオルは共有してはいけません。

 

感染が疑われた場合、どこに相談すればいいか?

最寄りの保健所やかかりつけの医師にご相談下さい。

また、保育園、学校や高齢者の施設等で発生したときは早く診断を確定し、適切な対症療法を行うとともに、感染経路を調べ、感染の拡大を防ぐことが重要ですので、速やかに最寄りの保健所にご相談下さい。

社会福祉施設等においては、「社会福祉施設等における感染症発生時に係る報告について」(平成17年2月22日付厚生労働省健康局長、医薬食品局長、雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長、老健局長連名通知)により、必要な場合は市町村及び保健所への報告等を行うようにして下さい。

なお、介護保険施設等に関しては、厚生労働大臣が定める手順(平成18年厚労告268「厚生労働大臣が定める感染症又は食中毒の発生が疑われる際の対処等に関する手順」)に沿って、必要な場合は市町村及び保健所への報告等を行うようにしてください。

 

見づらくてすいません。。。東京都福祉保健局のHPをご覧ください。

 

 

ノロウィルス、今、流行の兆しを見せているとのことです。

食品の扱い方、手指消毒の徹底、ウィルスに負けない免疫力を保つための体づくりを意識して、良いお年をお迎えください。