従業員 各位
日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。
7月度の衛生委員会の資料になります。
7月度のテーマは「気象病について」です。
皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、
業務に努めていただきたいと考えております。
ご安全に!!
2022年7月度
衛生委員会資料
産業医 北村 香奈
「低気圧のときや雨の日は、どうも調子が悪いな」などと感じる人はいませんか?
季節の変わり目や天気の悪い日に古傷が痛む、といったことは昔から言われてきました。これらは総じて「気象病」「天気病」などと呼ばれています。潜在的患者数は1000万人にものぼる、と言われています。
気象病とは何か、なぜ気象病になってしまうのか、気象病の症状はどうすれば和らげることができるのかについてお話ししていきまたいと思います。
気象病とは
気象病とは、天気の変化によって引き起こされる何らかの身体的・精神的な不調のことを言います。
そして、気象病の症状には大きく分けて以下の2種類があります。
①めまい、吐き気、肩こり、イライラ、情緒不安定などのように突然発生する症状(不定愁訴)
②偏頭痛・関節痛・古傷の痛みの再発などのように、もともと持っていた持病が悪化して現れる症状
気象病のなかでも、②のように頭痛などの特に痛みを伴うものを「天気痛」と呼ぶこともあります。
気象病を発症するのはなぜ?
気象病のメカニズムは完全に解明されていませんが、発症には大気の気圧が大きく関係していると考えられています。
梅雨や台風、豪雨などの「悪天候」で低気圧が来ると、気圧が大きく変化します。すると、体内で気圧を感じるセンサーである「内耳」が脳に信号を送り、自律神経が活性化します。
敏感な人は、このセンサーが敏感な傾向があり、一般の人が感じないような少しの気圧の変化でも過剰に自律神経が活性化してしまうことがあるのです。
気圧の変化で活性化した自律神経は、痛みの神経を直接刺激したり、血管を過剰に拡張・収縮させて周りの神経を刺激したりしてしまい、さまざまな症状を発生させてしまいます。
気圧のほかにも、湿度や温度の変化が自律神経に影響し、体の不調として現れることもあります。
気象病の二大条件
- 天気が悪くなると体調が崩れる
- 雨が降る前や天気の変わり目がなんとなくわかる
特徴的症状
頭痛 関節痛 耳鳴り めまい 喘息 だるさ アレルギー うつ状態 突然死!?
気象病の症状を和らげるには?
気象病の症状を和らげるために、すぐできるオススメのセルフケアは以下の2つです。
- 耳たぶの少し上を水平に引っぱり、5~10秒したら離す
- 耳たぶの後ろ側の骨のくぼみ(顎関節)を斜め上にぐっと押し、約30秒したら離す
ほかにも、以下のようなこともオススメです。
- ヨガやストレッチなど、ゆっくり長くできる運動をする
- 睡眠時間を十分に確保する
- 同じ時間に起床し、同じ時間に就寝するなど規則正しい生活を心がける
- 適度な有酸素運動をしたり、湯船にゆっくりつかったりして適度に汗をかく
普段からこうしたことに気をつけていると自律神経が整いやすくなり、気象病の症状が出にくくなると言われています。
気象病についてはまだはっきりわかっていないことも多いですが、珍しい症状ではなく、多くの方が潜在的に苦しんでいると想定されます。もし思い当たる症状があるという人は、自分がどのようなときに具合が悪くなるのかを記録しておくことで事前の対処がしやすくなりますので、カレンダーに印を付けたりスマートフォンのアプリなどを使って記録しておきましょう。また、自律神経が整いやすくなるように、普段から適度な運動や十分な睡眠を心がけてください。
東洋医学では気象病の原因として、湿気が考えられています。気象病が起こりやすい梅雨や台風の時期は雨が多いことから、過剰な湿気による「湿邪」が体調不良を引き起こします。湿邪が体に影響すると、全身の水のめぐりが悪くなり、頭の重さ、むくみ、めまいや倦怠感、吐き気の症状が出るとされています。
湿邪を改善させるには、体の水をめぐらせる必要があります。わかめなどの海藻類、きゅうり、ゴーヤなどの瓜類、小豆や黒豆などの豆類は体の水をめぐらせやすくします。
ストレッチやラジオ体操などで体を動かすと良いのも、滞っている体の水が動き湿邪を改善させるからと考えます。
また、昔から雨の前日に頭痛がする方には漢方薬の五苓散が非常によく効いたそうです。おそらく気圧の変化で、数字では捉えられない水分バランスのわずかな乱れ(漢方では水毒といいます)が原因と漢方的には考察されています。気象病かな、と思った方は五苓散を試されるのもおすすめです。
湿邪をはらうのに、足ツボマッサージも効果的ですよ。
最後に、改めて、気象病のチェックリストをお伝えします。
自分も気象病かも、と思われた方は、耳鼻咽喉科や今では気象病外来などを開いている病院もありますので早めにご相談くださいね。もちろんセルフケアもお試しを。
世田谷内科神経内科クリニックより抜粋