2022年6月度 衛生委員会からのお知らせ

従業員 各位

日頃のご精勤に心より感謝申し上げます。

6月度の衛生委員会の資料になります。

6月度のテーマは「健診結果の見方」です。

皆様に置かれましては、是非とも健康に留意いただき、

業務に努めていただきたいと考えております。

ご安全に!!

2022年6月度 

衛生委員会資料

産業医 北村 香奈

 

今回は、健診結果の見方について、お伝えしたいと思います。

健診結果、みなさん、要精査、要治療、の判定が出るまでは安心と思っていませんか?それではせっかくの健診結果を活かせていませんし、放置すると危険です。いわゆる、軽度異常を表すB判定を見逃さず、健康を維持するのに役立てていただければと思います。

B判定を甘くみるな!」

B判定は病気になるかならないかの境界線です。このB判定の陰で密かに病気は進行している、と考えてください。その中でも怖いのが、B判定がついている、隠れ糖尿病、隠れ高血圧、隠れ脂質異常症です。この状態の方は、放っておくと、将来循環器系疾患を発症する確率が格段に上がります。この時点で軌道修正を図るか否かで健康寿命が変わってくるということです。よくあるのが、「健診では緊張しちゃって高くなるんですよ」という白衣高血圧。しかし、緊張で高くなるということは血圧が不安定になりつつある、と言うことを表しているので、白衣高血圧も正常ではない、と意識していただきたいと思います。

 

さらに、産業医として健診結果をチェックするとき、B判定の組み合わせに注意します。

高血圧×高血糖=心臓病・脳血管障害 

高血糖×脂質異常=動脈硬化進行 

高血圧×脂質異常=血管閉塞により脳梗塞 

肝機能異常×高中性脂肪=脂肪肝から肝硬変 

高血圧×尿蛋白=腎機能低下 

 

また、B判定プラスαも注意します。

高LDL×喫煙者=動脈硬化進行(男性は非喫煙者の1.8倍、女性は2.8倍脳血管障害による死亡率アップ)

高γGT×飲酒しない=胆嚢疾患 

高音域難聴×騒音=難聴放置は手遅れに

 

C判定がB判定になんの生活改善もなく下がった場合にも注意が必要です。

肝機能:自然治癒ではなく肝硬変の一歩手前の可能性〜肝細胞が破壊して溢れ出てきていたGOT、GPTが、肝機能が悪くなりすぎ底をついて出なくなってきます。

過去にγGTが非常に高い状態があった:高い状態の時に臓器に障害を残している可能性があり、正常値になっても肝臓の経過観察は必要。

拡張期血圧:動脈硬化が進んで太い血管にまで進行すると、拡張期血圧は下がってくることがわかっています。

 

このようなことからも、その年の結果だけでなく、経年変化をみて、いつもとなんか違う、というところは気をつけたほうがいいでしょう。

健診結果などに説明が載っていることも多いのでご存知と思いますが、主な検査の正常値と意味を載せておきます。(健診結果が出てから異常になったところをチェックしてください)

 

 

腫瘍マーカー検査(血液検査): 腫瘍マーカー(腫瘍関連検査)は、がんにより体が反応して産生されることのある物質を血液検査等で測定する検査です。
自覚症状のない状態でがんを見つけるきっかけになることがありますが、良性疾患や生活習慣によって異常値を示すことも多く、この検査のみでがんの診断を行うことはできません。また、対策型のがん検診の代わりにはなりません。異常値の場合には精密検査が必要となります。また、検査が正常値でもがんが存在することもあります。腫瘍マーカーで異常が指摘されたら必ず更なる精査を行って、早期発見早期治療の手立てにしましょう。

 

特に女性に注意していただきたいこと

貧血 体重減 尿潜血 婦人科検診

女性の場合、月1回の月経がありますからどうしても貧血になりがちです。月経直後であったりしてたまたま貧血になっているのであれば問題ないのですが、そうではないのにHb(ヘモグロビン)が10を切るような状態だと心配です。一番多いのは鉄欠乏ですが、そうだと思い込んで放置していると血液疾患が隠れていた、どこかから出血していた、ということもあり得ますので、ヘモグロビン10未満という貧血の方は必ず一度は精査を受けるようにしてください。(血液の詳しい検査を受けることでどのような貧血かがわかってきます)

体重については貧血にも関与してきますし、やはりBMI16を切ってくるような体重では健康に影響が出てきます。筋肉もつけて適度な体重を維持していただきたいと思います。理想の適正体重はBMI22と言われています。

尿潜血は±くらいなら生理前後の影響で認めたりしますが、女性はそのせいだと思って放置しやすい傾向があります。実は腎結石だった、子宮頸がんだった、ということもありますので、生理から離れた時期の尿潜血は婦人科などで精査を受けておきましょう。

 

しつこいようですが、大事なのは、B判定を侮らないこと。そこで体が危険サインを出してくれているわけですから、この少しの悪化をどうしたら改善できるかを考えていただき、健康を維持していただければと思います。

基本の健康習慣、

①質の良い睡眠の確保 (眠る1時間前には入浴を済ませ、スマホやパソコンは厳禁!)

②バランスの良い食事を3食決まった時間に (ビタミンやタンパク質は心身の健康維持に重要です。野菜や大豆製品を少しでも取り入れましょう)

③適度な運動を取り入れて体重コントロール&自律神経の安定も図る(運動しているときは運動している体の感覚に集中してリフレッシュを)

を、もう一度意識し直して、健診に向け体づくりをしていきましょう。もちろん、健診が済んでも健康習慣は続けてくださいね。